第2話「頭蓋骨の形」
第一話で述べたように、アメリカのアングル先生は、悪い噛み合わせ(不正咬合)を正しい噛み合わせ(正常咬合)に治す、臨床歯科学を歯科矯正学と定義し、(写真1)に示すような正常咬合を持つ頭蓋骨を旗印として歯科矯正学を立ち上げました。つまり、凸凹な歯並びや八重歯はもちろんのこと、受け口(下顎前 突)や出っ歯(上顎前突)などはすべて不正咬合だから、それらは旗印のようなきれいな噛み合わせに治して、良く噛める健康な咀嚼器官(そしゃくきかん)に しましょうと、世に訴えたのです。今から100年も前、20世紀の初めの頃でした。
この思想は歯科矯正学の根幹ですから今も変わってはおりませんが、「旗印に用いた頭蓋骨は黒人である。」とロヨラ大学のケース教授に指摘されたことから、 後日、アングル先生の弟子たちが協議の末、正常咬合を持つ白人の頭蓋骨を旗印に変えたわけです。言い換えれば人種により、旗印は違うということで、黒人は 黒人なりの、白人は白人なりのそれがあるというのです。では、我々日本人のための旗印とはどんなものでしょうか。
ご存知のように、人類は皮膚の色によって黒人のニグロイド、白人のコーカソイド、それに黄色人種のモンゴロイド、の3種に大別されています。そして色の違 いは形態にも表されています。人類学では頭の形状を、頭の幅を頭の奥行きで割った「頭蓋指数」でとらえ、ニグロイドは長頭型(指数75以下)、コーカソイ ドは中頭型(指数75~80)、そしてモンゴロイドは短頭型(指数80以上)と3型に分けています。
そこで、日本人の頭蓋指数を計ってみると、なんと平均85でしたから、短頭型を1段飛び越えた超短頭型に属し、いわば丸い頭をしているといっても過言では ないのです。ですから、頭の骨と連結している上顎歯列弓(上の歯の列)も当然、幅が広く奥行きの短いアーチを示し、幅が狭く奥行きの長い白人の歯列弓とは 全く違うわけです。従って、我々日本人の矯正治療に際しては、白人、言い換えればコーカソイドの人々に通用する旗印を目安とすることなく、幅の広いアーチ を持つモンゴロイドの正常咬合を旗印とするべきなのです。
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